AIコンサルティング

AI導入の成功企業が最初にやった「業務の見える化」とは?

目次

  1. はじめに
  2. AI導入の前に業務を見える化すべき理由
  3. なぜ“現場の勘”に頼った業務はAIに向かないのか
  4. 成功企業の業務見える化のプロセス
  5. AI導入につながる業務の分解とデータ化のコツ
  6. 見える化から自動化まで、現実的なステップとは?
  7. よくある質問(Q&A)
  8. まとめ

1. はじめに

「AIを導入したいが、そもそも何から始めていいか分からない」 「現場が複雑で、どこにAIを入れていいか判断できない」そんな声に共通しているのは、“業務が見えていない”という課題です。AI導入の第一歩は、「技術」ではなく「業務の可視化」から。 この記事では、導入に成功した企業が最初に取り組んだ「業務の見える化」の実践例とプロセスを解説します。


2. AI導入の前に業務を見える化すべき理由

AIを導入する前にやるべきこと──それが「業務の見える化」です。

なぜなら、AIは“何をどこまで自動化・支援するのか”を明確にしないと設計できません。

業務が可視化されていないと:

  • どの工程に負荷がかかっているかが分からない
  • 人によって作業がバラバラで、AI化の範囲が曖昧
  • 評価指標も設定できないため、PoCの成否すら判断不能

「現状把握の甘さ」が、AI導入の失敗に直結するのです。


3. なぜ“現場の勘”に頼った業務はAIに向かないのか

AIは“ルール化された業務”を得意とし、“人の勘”に依存する業務には向いていません。

よくある現場の状態:

  • ベテランの判断に依存している
  • 手順がマニュアル化されていない
  • 作業が属人化し、誰が何をしているかが不明瞭

こうした状態では、AIに教える“ルール”がないため、設計自体が困難になります。

「人の暗黙知を形式知にすること」──これがAI導入前に必要なステップです。


4. 成功企業の業務見える化のプロセス

AI導入に成功している企業は、次のような順序で業務の見える化を実践しています:

  1. 業務一覧を作成(大〜中分類レベルで業務をすべて書き出す)
  2. 手順・関係者・時間を記録(作業ごとのフロー・所要時間・関係部署を整理)
  3. 問題点の洗い出し(ボトルネックや属人化ポイントを明確化)
  4. 優先順位の設定(頻度×負荷×改善余地でスコアリング)

このプロセスによって、「どこにAIを入れると効果的か」が初めて判断できます。


5. AI導入につながる業務の分解とデータ化のコツ

業務を「見える化」した後は、“AIに渡せる形”に業務を変換していきます。

  • ステップを“処理単位”に分解する
    例:受付 → 情報入力 → 対応分類 → 担当割り当て
  • データを定義・整理する
    例:項目を統一(氏名、日付、分類コードなど)、形式を整える(表形式、CSV等)
  • 判断基準を明文化する
    例:「A顧客は重要扱い」「B項目がある場合は注意喚起」など、暗黙ルールの形式知化

この一連の変換が、“人からAIへ業務を引き継ぐ”ための設計作業になります。


6. 見える化から自動化まで、現実的なステップとは?

AI導入までのステップは、一気に進める必要はありません。段階的に進めることで、無理なく実装できます。

  1. 業務フローの棚卸し(業務見える化)
  2. PoC対象業務の選定と分解・定義
  3. ノーコードツールなどで簡易AIを試す(PoC)
  4. 改善フィードバックを得て、導入対象を拡大
  5. 正式導入と定着・運用ルールの構築

この流れを“業務単位”で回していくことが、失敗しない現実的なアプローチです。


7. よくある質問(Q&A)

Q. 業務見える化はExcelでもできますか?
A. はい。まずはExcelで十分です。項目を整理し、担当・頻度・課題などを書き出すことから始めましょう。

Q. 手順が多く複雑な業務はどうすればいい?
A. 一連の流れを分解し、“自動化しやすい部分”と“人が残すべき判断”に分けるのがポイントです。

Q. 現場からの協力が得られにくいです。
A. 最初は小さな成功体験(時短やミス削減)を共有することで、「これは便利」と思ってもらうことが大切です。


8. まとめ

AI導入の成功企業が最初にやったのは、**“業務を見えるようにすること”**でした。

  • 複雑な業務ほど、可視化しなければAIには渡せない
  • 勘や属人化を“形式知”に変えることが、AI導入の前提
  • 業務を棚卸し・分解・整理し、PoC→実装へとつなげる

AI導入でつまずく前に、まず**「業務の見える化」からはじめましょう。** それが、最も確実な第一歩です。

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